娘に弱みを握られている
私が実家で療養していたときのことをたまに思い出す。いまだに思い出すと胸が苦しくなる場面だ。
その日は土曜日で、うちのやつが娘たちを連れて来た。
その頃の私は昼間も常にうつらうつらと眠っている状態で、生きているのか自分でもわからないような状態だったのだが、娘たちにそんな姿は見せられる訳もなく、意識をはっきりさせて出来る限り元気に見せていた。
うちのやつと娘たちにが帰るときに突然その場面が始まる。
8歳の三女が帰りたくないと言いはじめた。うちのやつが宥めていると三女は私が着ていたシャツを抱きしめて持ち帰ろうとしたのだ。
私は辛くて見ていられない。
自分のせいで娘たちに辛い思いをさせることが、これほど苦しいこととは想像もできなかった。
そんな三女も小学5年生で生意気ざかりだが、その時のことを思い出すとついつい甘やかしてしまう。
弱みを握られているということか。
困ったものだ。