幸せな朝食
料理をする音で目が覚める。うちのやつと長女がバレーボールの大会に持っていくお弁当の話をしていた。
実は私はこの日をずいぶん前から楽しみにしており、昨夜はいわゆる遠足の日の前日状態ですぐには眠れなかった。高校でもバレーボール部に入った長女だったが、1年生大会の今回は中学以来のスタメン出場なのだ。
3年前、実家で療養していた私は浅く短い眠りから醒めると母親が朝食を作る音がしていた。
私はまだ生きていた。明日はもう自分はいないつもりだ。実家では両親には迷惑がかかるだろうが、うちのやつと子供たちの為に。
朝食は少しだけ味がした。
段々と布団から出たくない季節になっている。
そろそろ起きておはよーと言おう。
お弁当をつくった残り物で朝ごはんを食べよう。玉子焼きはきっとあるだろう。想像しただけで味がする。
これ以上の幸せがあるだろうか。恐らく無いだろう。