彼はわかっていたのだろう
友達に癌になったひとがいる。
手術と放射線治療を終えた。
昨日少し話したのだが、情けないことに愚痴ってしまった。私が。
彼はなんとも言えない表情で聞いていたが、
やはり彼の不安は、私の比ではないのだろう。
彼が先の事に対して不安があるのは当然のことだ。
そもそもどんなに今が幸せな人間でもそれはあるはずだ。
私の話を彼は黙って聞いてくれた。
少しぐらい怒ってくれた方が、私は気が楽になったかもしれない。
愚痴れば愚痴るほど恥ずかしいというか、苦しいというか、嫌な気分になった。
私が今できる事はしっかりと心身を休める事。
子供達を不安にさせないこと。
今を楽しく生きること。
先の目標なんて考える必要はないのだ。
朝起きて今日1日を生きるだけだ。
彼はわかっていたのだろう。