ご褒美ケーキ
日曜日は三女のピアノのコンクールに行ってきた。
半年前からうちのやつには練習しろしろ言われてきたが、三女は真面目に練習はしてこなかった。
それでも最近は少しはまともに弾けるようになっており、終わったらご褒美にケーキを食べさせるという約束をさせられた。
本番スタート。
すぐにつまずく。
ワンフレーズ抜けてしまう。
親としては、胸が苦しくなる。
目を開けていられない。
初めでつまずいた彼女はその後もペースを取り戻すことのできないまま演奏を終えた。
客席に戻ってきた彼女は何も言わず席に座り、俯いていた。
失敗したことに何も感じていないようなら少しは怒ろうかかと思ったが、そうではなかった。
自分の練習不足は誰のせいにもできないし、それによりこんな悔しい思いをすることがわったのなら最高の結果ではないかと思う。
彼女は会場を出るときに言った。
「ケーキはいらない」